翼の折れた鳥たちは

だけど、バスケって。
あの体育館で行われているバスケのことだよね?

体育館って車いす用トイレあるんだっけ?
観客席まで階段だけど、エレベーター設置してあるのかな?

そもそも、そんな有名選手が出場する試合のチケットを入手できるのかな?


「敦也くん、本気なんだよね?」

飄々とした表情の敦也くんが何を考えているか、分からなくって私は尋ねる。

「うぅん、半分本気で、半分冗談」

敦也くんは肩をわざとらしく竦めて、そう答える。

「チケットだってとれるか分からない。体育館だってもしかしたらバリアフリーなんかじゃなくて、バリアばかりかもしれない。だから、無理だったとしても諦めがつくじゃん」

「敦也くん……」

いたずらに笑いながら、いつの間にか随分と上達した車いすでのスラローム走行を行う敦也くんの声は泣いているようにも聞こえる。

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