翼の折れた鳥たちは
「星原さん、あのねぇ……」
説得する相手は敦也くんばかりじゃない。
ボランティアグループに依頼するってなったら、病院全体を巻き込むことになる。
『敦也くんがバスケに行きたい』って言ったことを部長に説明する。
まぁ、半分は私が無理矢理言わせたようなものなのだけど。
「いつかは、屋外での車いす駆動訓練もしないと思っていた時期でしたので、これで敦也くんのモチベーション向上や自信の獲得に繋がればと考えています」
ボランティアグループに依頼することだって、部長の許可を取らないと絶対に失敗に終わることは、なんとなく分かっていたから報告すると、部長は腕組みして眉間に皺を寄せた。
部長の許可は、そんなに高いハードルじゃないと思っていたのに。