翼の折れた鳥たちは
「屋外での屋外車いすでの活動もいいことだと思う。だけど病院の駐車場だとか、せめて近くのスーパーでの活動じゃダメなのかい?」


部長の言っていることはごもっともだということなんて分かってた。

「敦也くん、まだ外の世界に出ることが怖いんです。何か、きっかけがあれば敦也くんはきっとそれを乗り越えることが出来ると思っています。そのきっかけが、今回のバスケなんじゃないかと思ってます」


私は思わず握りしめた手のひらにさらに力を込めながら喋る。

私の熱弁を静かに聞いていた部長の表情が和らいだ。

「いいだろう。栄養部の前田さんに相談してみなさい。フォローは僕もするよ。看護師長にも協力をお願いしよう」

「本当ですか?!ありがとうございます!!」

部長の言葉に私の頬が自然と綻ぶ。
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