翼の折れた鳥たちは
「えっ?!」

試合を見に行くことが出来ると、朝一番に敦也くんに報告すると、敦也くんは寝起きも手伝って、ハトが豆鉄砲食らったような顔して、それ以上の声が出ない様子だった。


「試合当日のチケットは取れなかったんだけど、前日にチャリティーイベントで地元のバスケチームと試合するんだって。その招待券、部長が知り合いの方に頼んで入手できたんだって!!」

テンションが上がる。
だって、これでもしかすると敦也くんの世界がまた広がるかもしれないのだから。


「すごいよね、部長。何者なんだろう」

朝から涼し気な表情で、私に紙きれを渡したからなんだろうと思ったらチケットだった。
嬉しすぎて、すぐに敦也くんの下に走ってきた。

私だってまだ夢みたいで、心臓がバクバク音を立てている。

未だ信じられないものを見ているような表情を浮かべている敦也くんは、私以上に夢心地なのかもしれない。


「みんなで一緒に見に行こう」

私の声掛けに、敦也くんはゆっくりと頷いた。

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