翼の折れた鳥たちは


『お疲れ様です。栄養部の前田です。バスケの件、もう聞かれました?』

「もちろんです。嬉しくって、本人にもすぐお伝えしました」

1日の仕事が一段落した午後3時過ぎ。

栄養部から内線を受けたら、相手はボランティアグループの代表の前田さん。


『最初の活動が、まさか車いすの若者をバスケ観戦に連れていくなんて思ってもみなかったわ』

上品な笑い声が受話器の向こうから聞こえてくる。

『試合観戦なら大きな体育館だから大丈夫だと私も考えてたんだけど、今回は前日のチャリティーイベントでしょ?場所も近くの市民体育館だって』

つまりは、大きな体育館ではないから完全バリアフリーってことではないらしい。


前田さんが小さくため息を吐く音が聞こえてくる。
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