翼の折れた鳥たちは

「さぁ、敦也くん。そろそろ業者の方が来る時間だよ」


私とチカラくんのことを楽しく話しながら自主練していた敦也くんに、リハビリ室に入ってきた部長が声をかける。


「はい。準備できてます」

部長の声に、敦也くんの表情が引き締まる。


1週間前、敦也くんの身障者手帳が完成したことで、敦也くん自身の車いすを作成することになった。

入院してからずっと病院にある普通車いすに乗っていた敦也くんだったけれど、ようやく敦也くんの身体にフィットする車いすが作れる。


つまり、これから先の敦也くんの脚になってくれる車いすを作る。

だけど、それは敦也くんの退院する日が徐々に近づいているということの証でもあった。


今日は業者の人がやってきて、敦也くんの身体を採寸する予定だ。
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