翼の折れた鳥たちは


「星原さんも、榎田さんも驚いたでしょ?僕が車いすだったから」

「……はい」

計測が終わり、荷物を片付けながら三嶋さんが可笑しそうに尋ねる。

ざっくばらんな性格の三嶋さんに私が小さく頷くタイミングで、敦也くんも返事をする。


「でも、三嶋さんが来てくれて色々話せてなんかちょっとイメージが付いたところもあります。退院後の生活のこととか」

「あぁ、それは嬉しい言葉だね」

三嶋さんは嬉しそうに微笑む。



車いす制作の話を相談した時、本郷車いす製作所の三嶋さんを指名するようにアドバイスをくれたのは部長だった。

きっと敦也くんのことを考えてくれたんだな、部長。


そんなことを思って心が温かくなる。

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