翼の折れた鳥たちは

「そうだ、榎田君。車いすバスケって知ってる?」

何かをひらめいた様子の三嶋さんが瞳を輝かせて尋ねる。


「車いすバスケ……、聞いたことはあります」

一瞬、視線を彷徨わせた敦也くんが返事をすると、三嶋さんは大きく頷く。

「俺、車いすバスケしてるんだ」
「へっ?」

敦也くんが素っ頓狂な声をあげる。

「さっき計測してたら、榎田君がこの間バスケ観戦に行ったって話してたから。車いすバスケ、興味ないかなって思ったんだ」


「……考えたことなんてありませんでした。車いすバスケ」

敦也くんは思ってもみなかった三嶋さんからの質問に、答えを探しあぐねている様子だ。

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