翼の折れた鳥たちは
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「入職して2年目になったが星原さんは、この仕事楽しいか?」
突然、尋ねられた質問に私は一瞬たじろいだ。
「えっとぉ、はい」
業務が終わって、突然深刻そうな顔をした部長に呼び出された私は、会議室で少し白髪交じりの部長と2人きり。
「じゃあ、星原さんはどうして理学療法士を目指した?」
「困った人の希望に寄り添いたいと思ったからです」
なんだ、これ。これじゃあ、まるで入社試験の面接みたいだ。
私の答えに、目の前に座った部長が困ったように笑った。
部長の手元に見たことのある資料が握られている。
あっ!!あれは……
「星原 葵、21歳。」
突如、部長がその資料に視線を落として読み始めたのは、入職する前に提出した私の履歴書だ。
21歳って、書いてから1年以上も経っているんだからもう22歳なんだけどな。
まっ、そんなことはどうでもいいけど。