翼の折れた鳥たちは
榎田さんの両親は2人とも目を真っ赤に腫らしている。
私の両親と、そんなに年齢は変わらないようにも見える。
特にお母さんの憔悴しきった様子は、私まで辛くなってしまうほど。
「気持ちは分かりますが、今後は車いすでの生活になると思って頂いた方がいいです」
「ハハハ、そうですよね。同じことを前の病院でも説明して頂いたんですよ」
淡々とした主治医の説明に、榎田さんのお母さんのため息交じりの乾いた笑い声が虚しく響いた。
「榎田さん、息子さんの全身状態は安定しました。そのため、うちの病院に転院してリハビリを中心にしっかり本人に頑張って頂きたいと考えています。しかし、」
「しかし?」
主治医の言葉を反芻するかのように、榎田さんの両親の言葉がシンクロする。