翼の折れた鳥たちは
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「葵ちゃん!!俺、退院決まったよ」

車いすバスケの見学から2週間程経ったある日のこと。

ベッドサイドの患者のリハビリを終えて病棟の廊下を歩いていた私の進路を遮った敦也くんが、少しはにかんだ笑みを浮かべて教えてくれた。


先週のカンファレンスで、退院が近づいてきているってことは知ってたんだけど……。

「えっ?!いつ?」


『おめでとう』

いつか敦也くんの退院が決まったらお祝いの言葉をまず最初に言おうと思っていたのに、そんな祝福の言葉は出なかった。

敦也くんの急すぎる報告に驚いてしまったからというだけではない。

きっと退院が敦也くんとのさよならを意味しているって分かっていたから言えなかったんだ。


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