翼の折れた鳥たちは

「あら、敦也くん。退院決まったんだってね。おめでとう。今、ソーシャルワーカーから連絡があったわよ」

「ありがとうございます」

テラスに向かう途中で通りかかったナースステーションで看護師長に話しかけられた敦也くんが嬉しそうに笑っている。

看護師長も満面の笑みで嬉しそうだ。


「おうちの工事も終わったの?」

「はい。俺の寝室を2階から1階に移動させて、家の中をバリアフリーにしたり、駐車場にリフトつけたり大変だったみたいですけど、予定より早く完成したみたいです」


この間のカンファレンスでも、敦也くんが家に退院するためにリフォーム工事の真っ最中だって話題で持ちきりだった。


きっとご両親が敦也くんが退院してくることをとても楽しみにしているんだろうな。

ここ最近の敦也くんの変化に喜んでいる敦也くんのお母さんの表情が浮かんでくる。

< 234 / 290 >

この作品をシェア

pagetop