翼の折れた鳥たちは

「夢ってなに?」

私の質問に敦也くんが車いすで近づいてくる。

きっと恥ずかしかったんだろうな。

敦也くんは耳たぶまで真っ赤に染まっている。


「俺、車いすバスケしたいんだ」

敦也くんの瞳が輝いている。

「いいね。車いすバスケ」

私もつられるようにして顔が綻ぶ。


「昔、怪我してバスケ出来なくなった時俺かなり落ち込んだ。今度の事故だって、正直まだ立ち直れたかって聞かれたら、即答は出来ない」

「うん。そうだよね」

「だけど、この間車いすバスケ見学して、またバスケが出来るって思った。またバスケがやりたいって。形は違うかもしれないけれど、もう一回俺の青春やり直せるなって感じたんだ」

敦也くんがまぶしい笑顔で笑ってる。

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