翼の折れた鳥たちは
「三嶋さんに相談したら、車いすバスケって障害によって得点が付くみたいなんだ。俺の状況だと結構得点も高いから、レギュラーだって夢じゃないって」
「三嶋さん、俺のことスカウトしてくれたんだ」
誇らしげな表情で敦也くんがこっそり教えてくれる。
「全部、葵ちゃんのおかげだよ。ありがとう」
「えっ?!私?!」
車いすバスケは三嶋さんが誘ってくれた。
私は何も……。
「葵ちゃんのおかげで前向きになれた。葵ちゃんが担当理学療法士で良かった」
目の前の敦也くんの姿がぼやけて見える。
私は涙をこらえて、口角を上げて笑顔を作る。
泣くのは、敦也くんが退院する日。まだ、泣いてる場合じゃない。