翼の折れた鳥たちは
「全身状態は安定していても、精神状態がね……。とにかくドクター指示なのよ」

看護師長は言葉を濁す。

「ま、まぁ、とにかく星原さん。挨拶行ってきなさい。会えば分かるから」

「ハイ」

私はそう言われて、足早に彼の入院している301号室へと急いだ。



少し太陽が傾き始めた時間帯。窓側の彼のベッドには穏やかな日差しが降り注いでいる。

15㎝程開いた窓から心地よい風がソヨソヨとカーテンを柔らかに揺らしている。

朝からリネン交換したばかりのシャンとシーツを張ったベッドの上で彼、榎田 敦也さんは規則正しい呼吸をしながら眠っているように目を瞑っていた。

< 24 / 290 >

この作品をシェア

pagetop