翼の折れた鳥たちは
「この間のオーディションで最後だったんだろ?結果、どうだったの?」


眉を下げたまま、部長が尋ねる。

「結果はまだ出てないです。どっちにしても、あれで歌うことは終わりです」

部長への返事は、自分の心にも強く言い聞かせる。


「本当にそれでいいのかい?」

ポツリと部長が口にした。


「もう決めましたから!!」

部長に声を荒げてしまった。

どうしてそんなことを言うのだろう。

部長だって、私が理学療法士を選んだ時、喜んでくれたじゃない。


「申し訳ありません……」

思わず大きな声を出してしまったことに頭を下げながら、私は逃げる様にリハビリ室を出ていこうとした。


その時だった。


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