翼の折れた鳥たちは


振り向いた先に見えた部長は困った顔して笑っていた。

「星原さん、これ」

おもむろに部長が取り出したのは、水色の封筒。


「敦也くんからの手紙だ。1つはスタッフ全員宛に、もう1つは星原さんへ。今日、病院に届いたらしい。さっき受付から預かった」


部長が私に近づき、敦也くんからの2通の手紙を手渡してくれる。

力強い筆圧で、少しだけ右上がりになっている癖のある字で私の名前が書かれてある。

「スタッフ宛の手紙読んでたら、理学療法士とか関係なく、一人の人間として星原さんの本当の気持ちを知りたくなったんだ」


部長は、そう言って少し照れくさそうに頭を掻く。


手渡された手紙を見たら、スタッフ宛の手紙はもう既に開いていた。

「スタッフ宛への手紙は、星原さんが読み終えたら看護師長に渡しておいて」


部長はそれだけを伝えると、リハビリ室を出て行った。

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