翼の折れた鳥たちは
◇◇◇
「あら、ありがとう」
読み終えたスタッフ宛の手紙を看護師長に手渡すと、看護師長は感慨深げにその文面を読んでいた。
「メールや電話とかでもなく、このご時世に手紙っていうのが嬉しいわね」
看護師長は瞳を潤ませて、そう言って天使の微笑みを見せる。
「それで、その星原さん宛の手紙は、もしかしてラブレター?」
私が手にしていた手紙を指さして、からかうような視線を私に浴びてながら師長が尋ねる。
「いっ、今から、読むんです!!」
きっと顔は真っ赤になっているだろう。
だけど、この手紙だけは1人でゆっくりと読みたい。
私は病棟を出ると、階段を昇り始めた。