翼の折れた鳥たちは
◇◇◇

「今までありがとうございました」

両手には各部署からの花束やプレゼントでいっぱいだ。


「淋しくなるわ。まさか辞めるなんて……」

頭を下げた私に、看護師長がポツリと漏らす。

「明日の保証がないことに気が付いたんです。やりたいこと全力で頑張ってみようって思ったから」


私の言葉に部長が大きく頷く。

「星原さん。君は僕が知っているこの2年近くの中で、今が一番いい顔表情してる。頑張りなさい」

部長は優しく声をかけてくれた。


「部長、皆さん、ありがとうございます」

私は部長と視線がぶつかり、少しだけくすぐったくて笑って見せる。


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