翼の折れた鳥たちは

「榎田さんの治療、どうすればいいんだろう」

私はポツリと呟いた。

昨日も、今日も何をしていいか分からなかった。

手も足も出ないというのが本当の所。


今日は関節の可動域を保つ運動をして、それから徐々にベッドの角度をあげて、リクライニング式車いすに乗せる。

その時点で、榎田さんの血圧が下がって、リハビリ中止。


リハビリの間、私がどんなに話しかけても全くと言っていい程榎田さんの反応はなかった。

もう、皆無に近い。

「えぇ」「あぁ」「はい」

返事だってこの3つくらいで事足りるらしく、榎田さんの声という声すら聞いたことなんてまだない。

なんだか、マネキンにリハビリしているみたいな気分に陥る。

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