翼の折れた鳥たちは

「ごめんなさい。予定より少し遅くなってしまって!!」

ナースステーションの近くにあるスタッフ用の出入り口が勢いよく開いたかと思ったら、少しだけ息を切らして一人のスタッフが目の前に現れる。


「榎田さん、どうですか?体調悪くないですか?」

彼女はそう言って、俺の顔をじっくりと見つめる。

きっと小言でも言われたのだろう。

看護師長に耳元で何かを囁かれて小さく肩を竦めている。


あぁ、来た。やっと来た。

病棟のスタッフが俺を『敦也くん』と呼ぶなか、たった一人だけ『榎田さん』と呼び続けている人物。


それから、俺をここのカウンターに座らせた人物だ。



俺のリハビリを担当する星原さんだ。

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