翼の折れた鳥たちは
担当の姉ちゃんと言われて、すぐに思い浮かんできたのは看護師長の顔。

そして、リハビリを担当してくれている星原さんだ。

看護師長は、姉ちゃんって年齢じゃないから、まさか?!

「ほら、リハビリのちっこい姉ちゃん」

やっぱり、星原さんらしい。

「あの子、いつも夕方屋上で歌ってるんだ。気分次第で昭和歌謡も歌ってるし、オリジナルソングもある」


へぇ。感心しながら、星原さんの歌声に耳を澄ます。

♪生きて 生き抜いて  今日という日を後悔しないように

星原さんの声は、歌は俺の胸を熱くする。

頬を熱いものが伝っているのに気づいたのは、それからしばらく経った後だった。


明日も、ここに星原さんの歌を聞きに来よう。

自分で車いすを漕いで、必ず。

俺は、静かに胸の中でそう決意したのだった。
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