翼の折れた鳥たちは

「車いすを使って日常生活が自立すること」

「それって長期目標？」

専門知識のある榎田さんが私の言葉に反応する。

「うん。退院時の目標設定」

「じゃあ、俺の今の短期目標って何？」

私は視線を泳がせた。

だって、その短期目標が予定していたものより遅れていて、私の頭を悩ませているんだもん。

「教えてよ」

私が言葉を選んでいることにきっと気が付いているだろう榎田さんがせっつく。

「院内の車いす移動自立と車いすの移乗が軽介助レベルになること」


もう正直に答えるしかなかった。

「ハードル結構高いな……」

榎田さんが私の答えに視線を落としながら小さく笑って、そう呟く。