翼の折れた鳥たちは
「だ、だけど、あくまで目標だから気にしないでね。目標はその都度修正することだってあるってこと、学校でも習ったでしょ?」

榎田さんが落ち込んだように見えたから、気にしないようにとフォローの言葉を咄嗟に並べる。

「目標達成を繰り返すことで、長期ゴールに繋がっていくことも学校で習った」

うぅぅぅ、そんなこと言われたら、返す言葉がないじゃない。

立ちすくんでしまった私を車いすに座った榎田さんが下から見上げる。


「星原さん、俺が明後日までに車いすでこの病室からリハ室まで一人で移動出来たら院内の車いす移動自立に近づく?」


「そ、それは、かなり近づくけど……」

榎田さんが何を言い出すのか分からずに、ビクビクしながら答える。


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