微笑む女『短編』
 


女の人、だ。



長い髪に細い体。



白いモヤがかかったその物体は、確かに『女の人』だった。


足元から寒気が這うように上がって来て、わたしはタオルケットを頭から被って身を縮ませる。


犬の鳴き声だけが響く。


夢?


そう、これは夢だ…。



女の人なんて、この家にいる訳が無い。


お母さんは半年前に死んだ。


お父さんと二人暮らしのこの家に、女の人はいない一。


そう、いるはずが無いんだ。





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