微笑む女『短編』
女の人の語りかけが止まり、辺りに不気味な程の静寂が流れた。
時間だけが暗闇の中を過ぎてゆく。
キャウーン………
遠くで犬の声が聞こえた。
何だろう?
今の、犬の怯えたような鳴き声は…?
恐る恐るタオルケットから顔を出す。
『!!』
顔だけの女の人がわたしの鼻先にいた。
『…顔、見せてくれたのね…』
昨日と同じ声。
同じ顔。
睨んだように微笑む、女の人。
わたしは慌ててタオルケットを頭まで被り、もう一度目を閉じて耳を塞ぐ。
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