盲目のヴァンパイアがいる

それから1ヵ月後、若奈はデイビットが居る生活に慣れた。

「デイビット別に私がご飯食べてるとこ見てなくていんだけど…」

「若奈の気配は結構楽しいから気にするな」

「…そうですか」

若奈は何を言っても駄目だと分かり諦めた。

そんな中、玄関を開く音が聞こえ、バタバタと人がリビングに入って来た。

「若奈ただいまー、…って誰あなた?」

「あちゃー…」

「若奈説明してくれる?」

「えっと彼は…」

若奈は母親の雪奈にデイビットが何故居るのか説明した。

「そうだったの、面白そうじゃない良いわよ!ここにいなさいな!」

「そうか助かる」

「ちょっとお母さん!普通は駄目って言う所でしょ?」

若奈は椅子から立ち上がりながら言った。

「あら、ヴァンパイアなんて普通会えないんだからいいじゃない、きっと楽しいわよ!ふふふ」

雪奈はそう言って、自分の部屋に行ってしまった。

「お母さんに手出さないでよね」

「出す訳ないだろ、嫉妬か?匂いで若奈の血の方がいい事くらいわかる」

「……」

若奈は怒りか羞恥でなのか顔を赤くしたがデイビットは気付かなかった。





それから数日後、若奈は学校帰りで家の近くになって人が居るのに気付いた。

「おい、お前が若奈だろう?」

「…そうですけど、あなたは?」

「俺はエリオス・スフィアーだ、ちょっと聞きたいことがある」

「なんですか?」

若奈は警戒しながら尋ねた。

「デイビットって知ってるよな?俺はそいつと同族だちょっと来てほしい」

「知ってるけど、…いやよ!離して!!」

エリオスは若奈の右腕を掴んだ、若奈は抵抗したがエリオスには効かなかった。

エリオスは抵抗する若奈の首元に顔を埋めようとするが、デイビットが現れる。

デイビットはエリオスの顔面に何度も拳をぶつけて、ボコボコにしていた。

「デイビット、私は大丈夫だからもう止めてあげて」

「…わかった」

デイビットはエリオスに対して殴るのを止めた。

「チッ、今日は帰る……」

エリオスはそう言って蝙蝠になり何処かに飛んでいった。

「若奈、エリオスにもう近づくな、いいな?」

「私だっていやよ、もうヴァンパイアはデイビットで十分、でなんで居るの?」

「散歩に出てただけだ…」

デイビットは目を逸らしたが若奈には分からなかった。
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