混戦クルーズ! 造船王は求婚相手を逃さない
 アレンは、久しぶりに熟睡できたな、と、さやわかに目覚めた。そういえば、昨夜は戻らないイライザを待って一睡もしていなかったのだ、と、ぱちりと目を開け、いつもの調子で手足を伸ばそうとしたところで、両手足が拘束されている事に気づいた。

 そして、隣に誰かが眠っているというおぞましい事実にも。

 やわらかなぬくもり、そういえば、なんだか良い夢を見ていたような気がする、と、冷静になりながら添い寝している人物を改めて、息を呑んだ。

「ッッッッ!!!!!」

 よだれをたらして、寝汚くクッションを抱きかかえて眠っている男。幸いにして、ベッドは広いが、それでも男との同衾はアレンにとって気持ちのよいものでは無かった。相手が、マイケル・ニュートンであればなおさら。

 そういえば、と、アレンは昨夜の事を思いだした。暗闇から誰かに襲われて、簡単に意識を手放した事を。

 そうだ、イライザは、イライザはどこに。

 両手足が拘束されている以上、情報収集するには、隣に眠っているマイケルを起こして話を聞く他なさそうだった。

 アレンは、揺り起こそうとしたが、直接手でふれずに足でマイケルの頬をちょいちょいと蹴った。

 その時だった。

 まだ寝ぼけている様子のマイケルが、ふいにアレンの足を掴み、すりすりと頬ずりをした挙句に、唇を足の甲のあたりに這わせた。

「……ッ!」

 ぞっとしたアレンがマイケルを蹴り起こした。
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