混戦クルーズ! 造船王は求婚相手を逃さない
「リリ・ドミニス……そうか、ガブリエルの海軍側の縁談の相手というのは、ドミニス大将の息女か……」

「養女、だけどね」

 そこは強調しておかなくてはならないとばかりに、マイケルは強調した。

 何故、と、これ以上マイケルに問いかけても、それ以上の情報は引き出せないだろう。アレンは、少しだけ考えた。

「リリ・ドミニス嬢は、なぜ、イライザを拉致しようとしたんだろうか」

 アレンは、無意識に言葉にしていた。

「いや、違うな、彼女は、イザベラがイライザである事を知らなかった、イザベラをおとりにして、イライザを招き寄せようとしたのは何故なんだ」

 アレンの言葉に、マイケルは居心地の悪そうな表情を作った。

「レディ・ジェネラル、リリ・ドミニス嬢は、『イライザ』に用があったのではないのか? なんのために?」

 言葉にする事で、アレンは思考を整理しようとしているのだが、マイケルはどうもそれが気になった仕方がないようだ。

「彼女は『イライザ』に何を言うつもりだったんだ?」

 それは、思いがけず出た言葉だった。

 アレンは、マイケルが何か答えてくれないだろうかと、次の言葉を待ったが、マイケルはそのまま沈黙し続けている。目を伏せて、わずかに赤面しているようでもある。

「君の立場がいまひとつよくわからないな、マイケル、君は、イザード造船にとってどちらの縁談を望ましいと考えている?」

「もちろん、海軍の方さ」

「何故」

 アレンは、策を弄する時間が無かった。だから、その質問には何の裏も無かった。

「だから、言ったじゃないか、リリの義父がそれを望んでいると」

「なぜ、君は、リリ嬢側の都合を優先しようとするんだい? 君が最優先するべきは、イザード造船では無いのか?」

 アレンが言い終わる前に、マイケルがアレンののしかかって来た。
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