混戦クルーズ! 造船王は求婚相手を逃さない
20)同船五人
大急ぎで旅支度を整えたリリと共に馬車に乗って、イライザは港へ向かった。旅券等の手続きはマイケルが、リリの父のいる海軍本部へは、ガブリエルとアレンが向かった。
結果として、リリの乗船は可能となり、『青い不死鳥号』には、イライザとリリ、マイケルとアレン、そして、造船主であるガブリエルの五人が揃った。
「よかった、これで、あなたの話をもっと聞くことができる」
二人きりのキャビンで、イライザが屈託なく笑うと、リリはどうにも居心地が悪かった。一服盛って、監禁した相手なのだ、そんな自分に対して、どうしてイライザは笑顔を向ける事ができるのだろう、と。
「あなた、私が怖くは無いの?」
素直にリリが尋ねると、イライザは少し考えたようにして言った。
「え、また、薬を盛ったりする気?」
「そうしない保証は無いって事」
「んー、できれば辞めて欲しいなー、眠っている間に船から落っことす、とかもできれば辞めて欲しい」
真面目くさってイライザが言うと、あわててリリが否定した。
「いや、さすがにそんな事はしない」
必死で言い繕う様子のリリを見て、イライザは安心したように微笑んだ。
「じゃあ、信じる、というか、私も、名を偽っていて、ごめんなさい、筆名を使っているのは防犯上の理由なんだけど、本名を教える頃合いについては、いつも悩むんだよねえ」
恥ずかしそうにイライザは頭をかきながら言った。
「……いや、私こそ、すまなかった……」
間に、ガブリエルを置くからおかしな事になるのであって、イライザはもともとリリを好ましく思っていたのだ。
けれど、その件について、自分はどう振る舞うべきなのかは、イライザにはまだよくわかっていないのだ。
結果として、リリの乗船は可能となり、『青い不死鳥号』には、イライザとリリ、マイケルとアレン、そして、造船主であるガブリエルの五人が揃った。
「よかった、これで、あなたの話をもっと聞くことができる」
二人きりのキャビンで、イライザが屈託なく笑うと、リリはどうにも居心地が悪かった。一服盛って、監禁した相手なのだ、そんな自分に対して、どうしてイライザは笑顔を向ける事ができるのだろう、と。
「あなた、私が怖くは無いの?」
素直にリリが尋ねると、イライザは少し考えたようにして言った。
「え、また、薬を盛ったりする気?」
「そうしない保証は無いって事」
「んー、できれば辞めて欲しいなー、眠っている間に船から落っことす、とかもできれば辞めて欲しい」
真面目くさってイライザが言うと、あわててリリが否定した。
「いや、さすがにそんな事はしない」
必死で言い繕う様子のリリを見て、イライザは安心したように微笑んだ。
「じゃあ、信じる、というか、私も、名を偽っていて、ごめんなさい、筆名を使っているのは防犯上の理由なんだけど、本名を教える頃合いについては、いつも悩むんだよねえ」
恥ずかしそうにイライザは頭をかきながら言った。
「……いや、私こそ、すまなかった……」
間に、ガブリエルを置くからおかしな事になるのであって、イライザはもともとリリを好ましく思っていたのだ。
けれど、その件について、自分はどう振る舞うべきなのかは、イライザにはまだよくわかっていないのだ。