混戦クルーズ! 造船王は求婚相手を逃さない
 リリは、今、イザベラ、いや、イライザと、心を開いて語り始めていた。だからこそ、もう、自分を偽る事は辞めようと決意し、全てを打ち明ける事にした。

「……私が、本当に好きなのは、マイケルなんだよ」

 突然の告白に、イライザは驚いた。イライザは、てっきりリリもガブリエルの事を愛していいるのだとばかり思っていたからだ。

「マイケルは、私の一族にとっては敵にあたる、外見を見れば、わかるだろう?」

 リリに流れる、島の、王家の血筋。

「でも、それは……」

 いいかけたイライザに対して、リリは柔らかく微笑んだ。

「そう、自分でも、もう、気づいていたんだ、私は、今は王族では無いし、マイケルだって、侵略者では無いんだ、でも、それを認める事ができなかった、どうしてかな、君とガブリエルを見ていたら、もっと素直に生きるべきなんじゃないかと思ってね」

 はにかんだリリは美しかった。

 イライザは、リリにそのように見られていたとは思えず、照れくさく思ったものの、自分が自由気ままに生きているのは、本来の性質に根ざすものであって、あまり誇れた事ではないのだけれど、とも思った。

 しかし、それを口にする事はしなかった。

 誰かの行動が、誰かに影響を及ぼす、それは、行動を示した人物ではなくて、それを見た人間が、自分の内にある何かと照らして決めること。

 きっかけになる事はあっても、誰かに強制されたものでは無く、意志によって導き出されたものなのだ、とも、思った。
< 113 / 123 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop