混戦クルーズ! 造船王は求婚相手を逃さない
「じゃあ君は、レディ・ジェネラルがしょーもない男にひっかかったらどうするんだ?」

 アレンがガブリエルに尋ねた。

「相手の男を捕まえてこんこんと諭す」

 真面目くさって言ったガブリエルにすかさずアレンが言い返した。

「それでどうして僕の気持ちを理解できないのか……」

「私は! しょーもない男では!」

 ガブリエルが否定するように言ったが、すかさずアレンが答える。

「泥酔した女性に不埒な真似をする男をしょーもない男と言わずしてどうする、何をした! イライザに何をした! 今答えろ、すぐ答えろ、答えによっては海の藻屑になってもらう!」

 畳み掛けるようにして言うアレンにたじろぎながら、ガブリエルはマイケルに助けを求めたが、マイケルの方もあきれたように「しっ、しっ」と、手を振り、とりあってはくれない。

「……言いたくない」

 絞りだすような声でガブリエルが言った。それは、とても、頭角を現してきた若いリーダーには見えなかった。

「ほおおおぅ? 良い度胸だ」

 指をぽきぽきと鳴らしながら、怒りの形相のアレンが向き直ると、決意したようにガブリエルが言った。

「……れは、これは、直接、自分から説明する、ふ、二人だけの、事、だから」

 赤面しつつ、どもりながら、しかし、ガブリエルはきっぱりと言った。

「それなら、今から言ってきてください」

 言ったのはマイケルだった。出港後、開催される晩餐会。今度こそ、意中の女性をエスコートせよ、というのがマイケルの言い分だった。

「もう、中途半端は辞めましょう、……お互いに」

 どことなく、未だに及び腰なガブリエルに対して、マイケルは既に気持ちを固めているように、アレンには見えた。

「さて、……あっちの方はどうなっているのやら」

 男性陣は男性陣で、女二人で話し合いたいと言っていたイライザとリリに、アレンは思いをはせていた。
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