混戦クルーズ! 造船王は求婚相手を逃さない
晩餐会会場は騒然としていた。
黒髪長身、野性的なガブリエル、
金髪碧眼、高貴な風貌のマイケル、
そして、ララティナ港寄港前には見当たらなかったもう一人の青年、
赤毛で人懐っこい様子のアレン。
一人でもかなり目立つ美青年が三人、並んで立っているのだ。
当然ながら、女性陣は色めき立ちつつも、どこか牽制しあう様子で遠巻きにし、声をかけられるのを待っている様子だった。
そこへ、今度は二人の女性が現れた。
一人は、イザベラ・クリフトン。華美では無いが、凛々しく、涼やかな目元には知性が宿り、シンプルなデザインだが、上質なドレスが職業婦人然としてよく似合う。
そして、もう一人、イザベラ以上の長身、黒く艷やかな髪、肌は日に焼けているが、それがかえって健康的で、弾けるような生命力を感じささせる美女が並び立つ。
二人は、悠然として、三人の美青年の前に立った。
周囲は息を呑み、美しい男女五人を遠巻きに見る事しかできなかった。
……しかし。
「あら、お美しい方々の中に、お一人、見劣りする方が混ざっているのではなくて?」
「そうですわ、どこぞのゴシップ三流記者ではありませんか」
「もうお一方も……」
リリの豊かな乳房を一瞥して、
「場末の酒場から来たようではなくって?」
万座の中で、ゲスト女性二名を侮辱するという方がよほど失礼では無いだろうか、と、アレンは思い、言い返そうとしたその時。
「確かに、おっしゃる通り、私の主戦場はゴシップ誌ですが……」
イライザがずい、と、進み、婦人の一人に耳打ちした。
「それだけに、情報には通じておりますよ?」
にっこり、と、イライザは微笑んだ。
耳打ちされた婦人は青ざめて、言葉を失った。
そして、イライザは続けた。
「それから、私の事はいくら言っていただいてもかまいませんが、私の友人を侮辱する事は許しません、彼女の、高貴高潔である事は、あなたがたに勝りこそすれ、劣るものではありません、どうか、彼女への言葉をお取消し下さい」
きっぱりと言い切るイライザに、リリが続けた。
「……ありがとう、イライザ、だが、確かに、私は酒場にも行く、その流儀を見せてもよろしいのでしたら、どうぞ、お手を」
そう言って、リリが、婦人の一人の手をとって、巧みなリードで音楽に合わせて踊り始めた。
黒髪長身、野性的なガブリエル、
金髪碧眼、高貴な風貌のマイケル、
そして、ララティナ港寄港前には見当たらなかったもう一人の青年、
赤毛で人懐っこい様子のアレン。
一人でもかなり目立つ美青年が三人、並んで立っているのだ。
当然ながら、女性陣は色めき立ちつつも、どこか牽制しあう様子で遠巻きにし、声をかけられるのを待っている様子だった。
そこへ、今度は二人の女性が現れた。
一人は、イザベラ・クリフトン。華美では無いが、凛々しく、涼やかな目元には知性が宿り、シンプルなデザインだが、上質なドレスが職業婦人然としてよく似合う。
そして、もう一人、イザベラ以上の長身、黒く艷やかな髪、肌は日に焼けているが、それがかえって健康的で、弾けるような生命力を感じささせる美女が並び立つ。
二人は、悠然として、三人の美青年の前に立った。
周囲は息を呑み、美しい男女五人を遠巻きに見る事しかできなかった。
……しかし。
「あら、お美しい方々の中に、お一人、見劣りする方が混ざっているのではなくて?」
「そうですわ、どこぞのゴシップ三流記者ではありませんか」
「もうお一方も……」
リリの豊かな乳房を一瞥して、
「場末の酒場から来たようではなくって?」
万座の中で、ゲスト女性二名を侮辱するという方がよほど失礼では無いだろうか、と、アレンは思い、言い返そうとしたその時。
「確かに、おっしゃる通り、私の主戦場はゴシップ誌ですが……」
イライザがずい、と、進み、婦人の一人に耳打ちした。
「それだけに、情報には通じておりますよ?」
にっこり、と、イライザは微笑んだ。
耳打ちされた婦人は青ざめて、言葉を失った。
そして、イライザは続けた。
「それから、私の事はいくら言っていただいてもかまいませんが、私の友人を侮辱する事は許しません、彼女の、高貴高潔である事は、あなたがたに勝りこそすれ、劣るものではありません、どうか、彼女への言葉をお取消し下さい」
きっぱりと言い切るイライザに、リリが続けた。
「……ありがとう、イライザ、だが、確かに、私は酒場にも行く、その流儀を見せてもよろしいのでしたら、どうぞ、お手を」
そう言って、リリが、婦人の一人の手をとって、巧みなリードで音楽に合わせて踊り始めた。