混戦クルーズ! 造船王は求婚相手を逃さない
9)アレンとヘンリー
最初に、少々のケチはついてしまったものの、晩餐そのものはつつがなく終わった。
キャビンに無事戻れたアレンとイライザは、疲労困憊の体で、着替えもせずにベッドに倒れこんだ。
「……食べた気が、しない」
アレンがつぶやくと、イライザも同意した。イザード造船社長といえば、晩餐会のいわば主役で、ひっきりなしに挨拶に来る者がおり、そのたびに挨拶や、会話を求められて、食事をしている時間は無かったのだ。
「……そう、ね」
イライザが同意すると、アレンが異を唱えた。
「イライザ、けっこう食べてたでしょ! 僕、見てたよ! お肉とか! お肉とか! お肉とか!」
「だって、余ったらもったいないじゃない」
「まさか、僕の分も食べたの?! ひどい! この、肉食獣人!」
「人聞きの悪い事言わないでよ、そんな、食べて……た、かな?」
「いやしんぼ! イライザのいやしんぼ!」
そうなると、もう、幼なじみの気安さから、ケンカも一気に子供じみてくる。
ノックの音に、あわてて、イライザが指をたてると、声がした。
「お嬢さんがた、夜分遅くに申し訳ないが、今、いいかい?」
ガブリエルの声だった。
キャビンに無事戻れたアレンとイライザは、疲労困憊の体で、着替えもせずにベッドに倒れこんだ。
「……食べた気が、しない」
アレンがつぶやくと、イライザも同意した。イザード造船社長といえば、晩餐会のいわば主役で、ひっきりなしに挨拶に来る者がおり、そのたびに挨拶や、会話を求められて、食事をしている時間は無かったのだ。
「……そう、ね」
イライザが同意すると、アレンが異を唱えた。
「イライザ、けっこう食べてたでしょ! 僕、見てたよ! お肉とか! お肉とか! お肉とか!」
「だって、余ったらもったいないじゃない」
「まさか、僕の分も食べたの?! ひどい! この、肉食獣人!」
「人聞きの悪い事言わないでよ、そんな、食べて……た、かな?」
「いやしんぼ! イライザのいやしんぼ!」
そうなると、もう、幼なじみの気安さから、ケンカも一気に子供じみてくる。
ノックの音に、あわてて、イライザが指をたてると、声がした。
「お嬢さんがた、夜分遅くに申し訳ないが、今、いいかい?」
ガブリエルの声だった。