混戦クルーズ! 造船王は求婚相手を逃さない
最初の港に着くまでは、おだやかに過ぎていった。時折イザベラが例のガブリエルにつきまとおうとする三人娘に絡まれる事はあったが、イライザ(の、ふりをしたアレン)が、ガブリエルの隣で微笑む様子を見ると、毒気を抜かれたように去っていく。
イライザの方は、マイケル・ニュートンにやたらと絡まれる以外、とりたてて初日と比べて大きな変化は無かった。
どちらかというと、船内に図書室を見つけ、船員や、乗客に取材をしている時以外は、図書室でひたすら執筆し続けるイザベラの姿を、ガブリエルが遠巻きにして見ている程度だった。
一度、アレン(くどいようだが、イライザに扮した)が、ガブリエルにたずねてみた。
「旅行記の進捗が気になりますか?」
イライザ(のふりをしたアレン)に尋ねられて、ガブリエルは少々驚いた様子で答えた。
「そうですね、可能であれば、読ませてもらいたいと思っています」
「あの子は、書き上げるまでは読ませてくれないと思いますよ」
女の作り声もいいかげん疲れてきて、イライザ(のふりをしたアレン)は、低めの声で言った。
「そうですか、……残念です、私は、イザベラ・クリフトン女史のファンなので」
「それは、知りませんでした」
今度はイライザ(のふりをしたアレン)が、驚く番で、あやうく素に戻りそうになるのをとりつくろうように、手にしたハンカチで口を覆うようにして、言った。
イライザの方は、マイケル・ニュートンにやたらと絡まれる以外、とりたてて初日と比べて大きな変化は無かった。
どちらかというと、船内に図書室を見つけ、船員や、乗客に取材をしている時以外は、図書室でひたすら執筆し続けるイザベラの姿を、ガブリエルが遠巻きにして見ている程度だった。
一度、アレン(くどいようだが、イライザに扮した)が、ガブリエルにたずねてみた。
「旅行記の進捗が気になりますか?」
イライザ(のふりをしたアレン)に尋ねられて、ガブリエルは少々驚いた様子で答えた。
「そうですね、可能であれば、読ませてもらいたいと思っています」
「あの子は、書き上げるまでは読ませてくれないと思いますよ」
女の作り声もいいかげん疲れてきて、イライザ(のふりをしたアレン)は、低めの声で言った。
「そうですか、……残念です、私は、イザベラ・クリフトン女史のファンなので」
「それは、知りませんでした」
今度はイライザ(のふりをしたアレン)が、驚く番で、あやうく素に戻りそうになるのをとりつくろうように、手にしたハンカチで口を覆うようにして、言った。