混戦クルーズ! 造船王は求婚相手を逃さない
 鷹揚として、淡く笑うばかりだったイライザが、急に挑戦的な顔を見せるようになり、ガブリエルは驚きながらも、その、挑むような美しさにみとれるような様子を見せた。

 ……やはり、油断ならない。

 その言葉は、アレンからのものなのか、ガブリエルのものなのか。

 ともかく、見た目は一対の似合いの男女が、双方それぞれの思惑で火花を散らすさなか、当のイライザ(本人)は、喜々として、記事を書き起こしていた。

 紙もインクも、充分備えたつもりだったが、この勢いでは少し心もとないかもしれない。

 最初の港で、少し調達した方がいいかもしれない、と、思いながら。
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