混戦クルーズ! 造船王は求婚相手を逃さない
 三人の女達は、理由ありそうな黒髪の女と、長身で身なりのよい紳士に興味津々といった様子だったが、仕事の時間なのか、名残惜しそうに去っていった。

 そして、空いた席に……。

「まさか、出先であなたに会うとは思わなかった、この店の料理は抜群なんだ、さすがだ、どこで知ったんだい?」

 馴れ馴れしくイライザの隣にガブリエルが、そして、その隣に、黒髪のララティナ美女が座った。

「えっと、こちらはリリ、昔馴染みなんだ」

 まさかガブリエルの後を付けてたどり着いたとは言えず、イライザが言葉につまっていると、まず最初にガブリエルがララティナ美女を紹介した。

「はじめまして」

 イライザが挨拶すると、

「よろしく、聡明そうなお嬢さん」

 低く、艷やかな声で、ララティナ美女はリリと名乗った。それは、火山列島の火の女神の名だ。

「私はイラ、イザベラです」

 あわてて言いなおしているところを気づかれないように、イライザは自己紹介した。

「イザベラは、今回の旅行記を書いてくれるんだ」
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