混戦クルーズ! 造船王は求婚相手を逃さない
アレンの心配をよそに、マイケル・ニュートンは在室で、他に約束も無いのか、ブルームーン商会の名を出した事が功を奏したのか、アレンは面会を許された。
応接室に通されて、一人待っていると、現れたのは、船で会った伊達男、ガブリエルとは対象的な金髪碧眼の美青年、イザード造船の敏腕広報官、マイケル・ニュートンその人だった。
初対面の挨拶を済ませて、着席した時、マイケルは少し怪訝そうな顔でアレンを見た。
「……どこかで、お会いしましたか?」
漁色家が女性をくどく際の常套句が、思いがけずマイケルの口をついた。
こういう、定石を外さないところが、彼が女性にもてる所以なのだろうか、と、思いながら、アレンはにこやかに答えた。
「もしや、従姉妹に会いましたか、イライザ・アトキンソンは従姉妹なのですが、時折兄妹に見間違えられるほどに似ているのだそうです」
「ああ! そういえば! 従姉妹殿はたいそうお美しくていらした、どうりで」
アレンは、心の中で、『まあ、同一人物だけどな』と、舌を出しながら、マイケルの挙手一投足を見た。
隙の無い様子は、伊達男の面目躍如という事なのだろうが、どことなく坊っちゃん然とした甘さが感じられるのも、この風貌のせいなのか、と、アレンはマイケルを値踏みした。
応接室に通されて、一人待っていると、現れたのは、船で会った伊達男、ガブリエルとは対象的な金髪碧眼の美青年、イザード造船の敏腕広報官、マイケル・ニュートンその人だった。
初対面の挨拶を済ませて、着席した時、マイケルは少し怪訝そうな顔でアレンを見た。
「……どこかで、お会いしましたか?」
漁色家が女性をくどく際の常套句が、思いがけずマイケルの口をついた。
こういう、定石を外さないところが、彼が女性にもてる所以なのだろうか、と、思いながら、アレンはにこやかに答えた。
「もしや、従姉妹に会いましたか、イライザ・アトキンソンは従姉妹なのですが、時折兄妹に見間違えられるほどに似ているのだそうです」
「ああ! そういえば! 従姉妹殿はたいそうお美しくていらした、どうりで」
アレンは、心の中で、『まあ、同一人物だけどな』と、舌を出しながら、マイケルの挙手一投足を見た。
隙の無い様子は、伊達男の面目躍如という事なのだろうが、どことなく坊っちゃん然とした甘さが感じられるのも、この風貌のせいなのか、と、アレンはマイケルを値踏みした。