混戦クルーズ! 造船王は求婚相手を逃さない
「時に、その従姉妹の事なのです、今日こうして訪問したのは」
「従姉妹君と縁談が持ち上がっているのは、当社のガブリエルですが、私でよろしいので? 彼はまだ外出中なので、出なおしていただいた方が……」
「いえ、それには及びません、今日は、イザード氏以外の方からお話をうかがいたかったので」
アレンは、含みのある笑顔をマイケルに向けた。
「ご存知でしょうか、当ブルームーン商会、ヘンリー・アトキンソンには息子がおりません」
「存じております、一人娘のイライザ嬢だけだと」
「あなた方の目的は、ブルームーン商会ののっとりですか?」
アレンは、おもむろに直球を投げつける事で、マイケルの表情の変化を読もうとした。
「随分なおっしゃりようですね、造船技術を持っているイザード造船と、海運業の雄、ブルームーン商会が縁付く事は、益が多いからという考えで、御社の方から持ち上がった話だと、私は聞いていますが」
マイケルは、一瞬、表情を歪めたものの、すぐに取り繕ったような笑顔をみせて、凉しそうに言ってみせた。
さすがは広報官、ガブリエルの片腕とも言われるだけの事はある。ただの女性受けする美青年というわけでは無いようだ。
「……ふむ、そうですね、僕も叔父からはそのように聞きました、……ですが」
ここからが、アレンにとっては芝居の始まりだった。今からアレンは、悪人を演じなくてはならない。
「従姉妹君と縁談が持ち上がっているのは、当社のガブリエルですが、私でよろしいので? 彼はまだ外出中なので、出なおしていただいた方が……」
「いえ、それには及びません、今日は、イザード氏以外の方からお話をうかがいたかったので」
アレンは、含みのある笑顔をマイケルに向けた。
「ご存知でしょうか、当ブルームーン商会、ヘンリー・アトキンソンには息子がおりません」
「存じております、一人娘のイライザ嬢だけだと」
「あなた方の目的は、ブルームーン商会ののっとりですか?」
アレンは、おもむろに直球を投げつける事で、マイケルの表情の変化を読もうとした。
「随分なおっしゃりようですね、造船技術を持っているイザード造船と、海運業の雄、ブルームーン商会が縁付く事は、益が多いからという考えで、御社の方から持ち上がった話だと、私は聞いていますが」
マイケルは、一瞬、表情を歪めたものの、すぐに取り繕ったような笑顔をみせて、凉しそうに言ってみせた。
さすがは広報官、ガブリエルの片腕とも言われるだけの事はある。ただの女性受けする美青年というわけでは無いようだ。
「……ふむ、そうですね、僕も叔父からはそのように聞きました、……ですが」
ここからが、アレンにとっては芝居の始まりだった。今からアレンは、悪人を演じなくてはならない。