混戦クルーズ! 造船王は求婚相手を逃さない
3)イライザのたくらみ
敢えて晩餐会など開かずに、元々あった催し物で、ついでのように面通しをさせようとする合理的な考えには好感がもてたが、かといってイライザの気持ちは変わらない。
ブルームーン商会令嬢、イライザと、イザード造船社長、ガブリエル・イザードの初対面は、新造の大型客船の進水式にイライザ嬢が招かれるという形で実行される事になった。
幸い(?)にして、イライザの父は同席せず、エスコート役はアレンという事になった。
お見合いのような場面に同世代の従兄弟を同席させるのは、本当に見合いをさせる気があるのかと、父を怪しんだイライザだが、父が来ないのはまさに好都合という事で、遠慮無く計画を実行する事にした。
「よしっ! 綺麗に仕上がった!」
満足そうにイライザが、仕上がったアレンに向かってにこやかに言った。
一方のアレンの方は納得はしていないものの、やむなし、しかた無しで、鏡の中の自分を正視できずにいた。
「さあ、じゃあ行こうか」
どうせなら、苦痛はすぐにすませたい、アレンは自分の姿を確かめもせずに出て行こうとした。そんなアレンの手をイライザはとり、両肩を掴んで姿見を見せた。
一瞬、こばむようにして目をつむったアレンだったが、好奇心に負けて薄目を開け、覗くように着飾らせられた自分の姿を見た。
「……これが、僕?」
思わずあげたアレンの声は微妙に高く、既に気持ちが入り始めているのではないかとイライザは思った。
「似合ってる、すごく、……多分、私よりずっと」
浸水式は日中の行事であり、海にまつわる行事という事で選ばれた濃紺のドレスを身にまとい、かつらと帽子で輪郭を隠すと、いっそう美しく、深窓のレディのように見えなくもない。
ブルームーン商会令嬢、イライザと、イザード造船社長、ガブリエル・イザードの初対面は、新造の大型客船の進水式にイライザ嬢が招かれるという形で実行される事になった。
幸い(?)にして、イライザの父は同席せず、エスコート役はアレンという事になった。
お見合いのような場面に同世代の従兄弟を同席させるのは、本当に見合いをさせる気があるのかと、父を怪しんだイライザだが、父が来ないのはまさに好都合という事で、遠慮無く計画を実行する事にした。
「よしっ! 綺麗に仕上がった!」
満足そうにイライザが、仕上がったアレンに向かってにこやかに言った。
一方のアレンの方は納得はしていないものの、やむなし、しかた無しで、鏡の中の自分を正視できずにいた。
「さあ、じゃあ行こうか」
どうせなら、苦痛はすぐにすませたい、アレンは自分の姿を確かめもせずに出て行こうとした。そんなアレンの手をイライザはとり、両肩を掴んで姿見を見せた。
一瞬、こばむようにして目をつむったアレンだったが、好奇心に負けて薄目を開け、覗くように着飾らせられた自分の姿を見た。
「……これが、僕?」
思わずあげたアレンの声は微妙に高く、既に気持ちが入り始めているのではないかとイライザは思った。
「似合ってる、すごく、……多分、私よりずっと」
浸水式は日中の行事であり、海にまつわる行事という事で選ばれた濃紺のドレスを身にまとい、かつらと帽子で輪郭を隠すと、いっそう美しく、深窓のレディのように見えなくもない。