混戦クルーズ! 造船王は求婚相手を逃さない
 結論から言って、マイケル・ニュートンを少し甘く見すぎていたかも知れない、と、アレンは思った。

 見た目はちゃらんぽらん風なのだが、そこは、急成長した造船会社の人間だ。

 さらに言えば、マイケルは広報官という職にいる。つまりは、イザード造船の窓口であり、彼の一挙手一投足が、社そのもののイメージを左右する。

 けれど、アレンも少し予想はしていたが、マイケル・ニュートンはガブリエル・イザードを尊敬してはいるが、歳が近い事もあり、どこか対抗意識を持っているように思えた。

 今回の縁談は、彼のそうした対抗意識を少なからず刺激しているように見える。

 そして、そんな感情は、出口を探していた。

 社内の人間や、それ以外の人間にはこぼせないその気持ちをうちあけるのに、アレンは最適な存在だったかもしれない。

 縁談相手の関係者で、なおかつ、縁談そのものをよく思っていないだろうとされる人間。

 マイケルがこぼしたのは、あくまでも個人の感想ではあった。しかし、アレンにはそれで充分だった。

「実は、縁談は他にもあったんです」

「ほう?」

 興味深そうにアレンが身を乗り出すと、

「この事はイライザ嬢の耳に入れてほしくはないんですが……、相手は、海軍の関係者でして」
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