混戦クルーズ! 造船王は求婚相手を逃さない
リリ・ドミニス私邸の図書室は、イライザの知識欲を大いに満足させる規模と、快適さをもっていた。
もう、旅行記作成を放棄してこのまま事で執筆に専念したいほどの居心地のよさに、イライザは再度うっとりと、整然と並べられた蔵書の数々と、リリの収集した大量のメモを前に陶然としていた。
しかし、旅行記作成はイライザにとって念願であり、滞在地はこの先にまだまだある。ここで旅を辞めてしまうわけにはいかないのだ。
預かる事の可能な書付類については後で熟読するにしても、わからない点や、文書化されていない内容については、リリから話を聞かなくてはならない。
「今夜一晩、付き合ってもらえるのでしょうか」
意味ありげにイライザが言うと、リリも何やら意味ありげに微笑んだ。
「もちろん、しかしイザベラ、私は急いでは居ないんだ、君が生きている間に形にしれくれればそれで」
「でも、鉄は熱いうちに、って言うでしょう? 肝になる部分については、早い段階でしっかり聞いておきたいから」
自分で言った以上、イライザも眠らないかまえだ。
「長くなりそうだからね、くつろいで、まず、何から話そうか」
「遡っていった方が話しやすいかもしれないから、まずはあなたの時代の話からお願いできる?」
「そうか、わかった、私の話ならばそれほど長くはないから……」
リリが語り、イライザはそれを書き留める。時折イライザが質問をしたりしながら、ペンを走らせていく。
リリの話は明瞭で、島の地図とあわせて語られる話は、実際に足を運ばない場所ですら、臨場感をもって語られた。
もう、旅行記作成を放棄してこのまま事で執筆に専念したいほどの居心地のよさに、イライザは再度うっとりと、整然と並べられた蔵書の数々と、リリの収集した大量のメモを前に陶然としていた。
しかし、旅行記作成はイライザにとって念願であり、滞在地はこの先にまだまだある。ここで旅を辞めてしまうわけにはいかないのだ。
預かる事の可能な書付類については後で熟読するにしても、わからない点や、文書化されていない内容については、リリから話を聞かなくてはならない。
「今夜一晩、付き合ってもらえるのでしょうか」
意味ありげにイライザが言うと、リリも何やら意味ありげに微笑んだ。
「もちろん、しかしイザベラ、私は急いでは居ないんだ、君が生きている間に形にしれくれればそれで」
「でも、鉄は熱いうちに、って言うでしょう? 肝になる部分については、早い段階でしっかり聞いておきたいから」
自分で言った以上、イライザも眠らないかまえだ。
「長くなりそうだからね、くつろいで、まず、何から話そうか」
「遡っていった方が話しやすいかもしれないから、まずはあなたの時代の話からお願いできる?」
「そうか、わかった、私の話ならばそれほど長くはないから……」
リリが語り、イライザはそれを書き留める。時折イライザが質問をしたりしながら、ペンを走らせていく。
リリの話は明瞭で、島の地図とあわせて語られる話は、実際に足を運ばない場所ですら、臨場感をもって語られた。