混戦クルーズ! 造船王は求婚相手を逃さない
今、ここで、マイケルの注意を自分に向けている間に、イライザ自身が自分の身をどうにかできないだろうか、そう思った。これは、一種の賭けだった。
イザベラがイライザだと気づかれる事が先か、イライザ自身が自分の身を守るのが先か。そうなると、ガブリエルと連絡手段を整えておかなった事が悔やまれた。
イライザを遠巻きに護衛すると言っていたガブリエルは、そう遠くにはいないはずだ、もし、言葉通り、イザベラがこの館にいるのであれば。
今となっては、ガブリエルは数少ない味方なのだ。
「そんな風に言いながら、ブルームーン商会の方はどうなのですか」
マイケルは、今、目の前にいる人間を、どうにかしてたたきのめしたい気持ちになっているようだ。そこに付け込まない手は無い。
祈るような気持ちで、アレンは会話を続けた。
「当社は、そもそも婚姻によって業務拡大を目指してはいません」
言い切ったが、ヘンリーが何を考えているか、正しく把握はしていない。もしかしたら、イライザとガブリエルの縁談にすがりたい気持ちがあるのかもしれないが、今はわからない。
「ほう? まあ、あなたの能書きも、イライザ嬢を確保すれば、考えが変わるかもしれないな」
マイケルは、イライザを確保しさえすれば、自分の勝ちだとでも言うように、上段から言う。
ややあって、階段を降りて来る者がいた。長身で、細身の、身なりから海軍の将校だというのがわかる。長い髪を一つに束ねている。一瞬、アレンは、なんだ、優男か、と、思ったが、その人物が声をあげた時に、自分の認識を訂正した。
「マイケル、勝手に人を動かして、どういうつもりだ」
低くはあるが、それは女の声だった。
イザベラがイライザだと気づかれる事が先か、イライザ自身が自分の身を守るのが先か。そうなると、ガブリエルと連絡手段を整えておかなった事が悔やまれた。
イライザを遠巻きに護衛すると言っていたガブリエルは、そう遠くにはいないはずだ、もし、言葉通り、イザベラがこの館にいるのであれば。
今となっては、ガブリエルは数少ない味方なのだ。
「そんな風に言いながら、ブルームーン商会の方はどうなのですか」
マイケルは、今、目の前にいる人間を、どうにかしてたたきのめしたい気持ちになっているようだ。そこに付け込まない手は無い。
祈るような気持ちで、アレンは会話を続けた。
「当社は、そもそも婚姻によって業務拡大を目指してはいません」
言い切ったが、ヘンリーが何を考えているか、正しく把握はしていない。もしかしたら、イライザとガブリエルの縁談にすがりたい気持ちがあるのかもしれないが、今はわからない。
「ほう? まあ、あなたの能書きも、イライザ嬢を確保すれば、考えが変わるかもしれないな」
マイケルは、イライザを確保しさえすれば、自分の勝ちだとでも言うように、上段から言う。
ややあって、階段を降りて来る者がいた。長身で、細身の、身なりから海軍の将校だというのがわかる。長い髪を一つに束ねている。一瞬、アレンは、なんだ、優男か、と、思ったが、その人物が声をあげた時に、自分の認識を訂正した。
「マイケル、勝手に人を動かして、どういうつもりだ」
低くはあるが、それは女の声だった。