フラれた傷をえぐるヤツ

朝、会社に着くとヨシタカと目があった。

ふぅん?と、少し嬉しそうにあたしを
見ると、真っ直ぐこっちへ来た。


あら、トウコさん。
今日はお綺麗ですこと。

からかってるようでも、目が優しい。

あら、ヨシタカさん。
あたくし、いつでもお綺麗なんですのよ。

ふざけ返すあたしの肩を、
パンパンと軽く叩き。

よしよし。よく頑張ったね。と、
まるで先生かのように言うから。

先生のおかげですぅ。と、またふざけ返す。


バカバカしい笑いも、今は心地いい。

微笑むあたしに、ふっと真顔になった
ヨシタカが、

よかった…。少し安心したよ。

と、小さな声でつぶやいて、
じゃ、行ってきます。と、外回りに出かけた。


あいつ…こんなだったっけ…。

ジワジワと、優しさがしみてくる。



よし。今日も頑張りますか!


声に出てたらしく…。


周りの同僚たちから、

はいはい。頑張ってー。と、笑われたけど。

みんな、どことなく優しい顔してる。

口には出さなくても、気にかけてくれてるんだよね。

心配かけてごめん…。
みんな、優しいね。
こんないい仲間達がいてくれて、ほんと
あたし幸せだな…。


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