フラれた傷をえぐるヤツ

仕事をしてるって、ありがたいなって
今日は思えた。

忙しさに振り回されて、辛いことを
思い出してる暇がなかった…。

月末の今日は、いつもより忙しくて。

バタバタ走り回ってるうちに、気がつけば
約束の時間が迫っていた。

ふぅ。間に合っちゃうか…。

他のみんなも、忙しい日ではあったけど
切り上げる準備を始めていた。

背中から、声が聞こえた。

トウコ、そろそろ行こうぜ。

ヨシタカだった。
振り返ると、いつものニコニコ顔。


なんで、そう嬉しそうなのかな?

え?俺、嬉しそう?
普通だけどね。

そうだね…あんたは、いつもそうか。

なんか、褒められちゃった?

んーん。褒めてない。

またまたー。
まあ…いいから、さ、行こ行こ。

気がつけば、みんながこっちを見てる。

もう、逃げられないか…。

ん。じゃ行こか。
いっぱい飲んでやる…。

すっかりヤケになってるあたしの背中に
ちょっぴり優しく手を添えて、
ヨシタカは、元気に叫んだ。

美味しいお酒に!
いざ、しゅっぱーつ!!


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