フラれた傷をえぐるヤツ
調子にのらないで
フラれたばかりで悪いけど、
立ち直るには、新しい恋っていうから。
いつでも声かけて。
口の端で、少しだけ笑って。
じゃ、明日…って、もう今日か。
もう少し寝て。
目覚まし忘れんなよ。
あっけにとられる、あたしを置き去りに
パタンとドアが閉まった。
な、何を勝手なことを…。
あたしの…岸くんへの気持ちが
そんな簡単に、消えるわけないじゃない!
ふざけてる…。
ああもう、何もかも面倒くさい。
寝よ…。
水を飲んで、カーテンの隙間から外を見ると
朝日が少しだけ顔を出して…
キレイ…。
黒と赤のコントラストに目を奪われて。
涙がこぼれた…。
まだ涙出るんだ、あたし…。
キレイな朝焼けの中、忘れられない岸くんの
顔が、あたしをいっそう切なくさせていた。
もう、終わってしまったのに…。
忘れられるわけない。
あんなに好きになれる人は…
もう絶対現れない。
新しい恋なんて、いらないの!
岸くんじゃないと…ダメなんだよ。
忘れられないよ…。