【冴えない貴方は御曹司！？】番外編も完結しました！

その後の部内は騒然として、仕事どころの騒ぎではなくなって、婚約者様だとか社長夫人だとか、部のメンバー達が口々に言っているのが聞こえます。

オマケに部長までゴマすりをし始めました。

｢綾乃さん、どうです、この部署のホープの逢坂君に会社を案内してもらったら？いやあ、彼は社長を継ぐ男ですから、将来は安泰ですな、綾乃さん｣

部長…ヤメテクダサイ…ウンザリした表情を浮かべて、逢坂さんが部長に訴えます。

｢祐輔さん、参りましょう。皆さんのお仕事のお邪魔をしてはいけませんわ。ね、そうしましょう｣

まるで誰かに見せつけるかのように、綺麗な女性改め綾乃さん(兵藤綾乃ﾋｮｳﾄﾞｳｱﾔﾉ)は、逢坂さんの腕に自分の腕を絡めて、どこかへ連れ去ってしまいました。

｢やれやれ、綾乃さんは積極的だな｣

部長は呟くように言うと、パンパンと手を叩いて、ほらほら仕事の時間だぞ、と注意を促します。

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何だか疲れたな…と考えていると、噂の張本人がデスクに戻って来ました。

そして、うるさくしてスミマセンと皆に詫びたのです。

その後私の方に向き直って
｢なんかごめんな…あの人強引なんだ。お前に変なこと言ってただろ？｣

いいえ、別にと素っ気なく答えることしか出来ない私に、逢坂さんは、何故だか少しだけ寂しそうな顔をしました。

さあさあ、お仕事お仕事！と、コピー用紙の補充に向かい、コピー機をわざとガチャガチャ音をさせて、気を紛らわせる自分の行動を不思議に思いながらも、私は訳の分からないこの気持ちに、もやもやしていたのです。