【冴えない貴方は御曹司！？】番外編も完結しました！

どう反応すれば良いのか、それが目下の悩みなのですが…。

私は出来るだけ逢坂さんと目が合わないように、努めて目線を外すようにしていたのですが、何と何と、エセの見た目の逢坂さんが、突如として私の視界に入って来たのです。

もう何なのよと言わんばかりに、視線をあらぬ方向に向けると、お前、やっぱり面白え奴だなと失礼極まりないことをおっしゃるエセ逢坂さん。

｢あの～逢坂さんですか？｣

そうだけど、と返してくる自称逢坂さんだと言っている人。

｢どっちの逢坂さんが本当の逢坂さんなのですか？｣

すると、今までニヤニヤ笑っていた自称逢坂さんが、真剣な上司の表情を取り戻して、こう言ったのです。

｢どっちも俺だ｣

でもでも……見た目はどうして変えていたのかとも尋ねてみたいし、もしかして、私だけではなくて、会社の皆をも騙していた？

あまりにもイケてない風貌を装っていたあの逢坂さんは、疑惑の眼差しを向ける私に、やれやれと言った後に話し始めました。

｢結果として君や会社の皆を騙す形となって申し訳ない。俺はこの会社を将来背負っていく者として、政略結婚も致し方ないとずっと考えていた。だけど、そんな結婚相手の候補に挙がるのは、どこぞのお嬢様達だけで、やれ○○のバッグがウン百万円でお安いのですよとか、新婚旅行は世界一周の船旅しか認めないだとか…一体どんだけ休み取れば良いんだよって話だ。この会社の跡継ぎである俺の金目当てとしか思えなくてさ…だから、俺を変なフィルターを通して見ることなく、素の俺を分かって着いてきてくれる相手を探しているんだ。｣

逢坂さんは更に続けます。

｢俺は結婚相手を自分で見つけると親父に宣言したところだったんだ。でも、突然降って湧いたような見合い話で、向こうは無茶苦茶乗り気で、いやあ、参ったよ。やたらと積極的で、俺、ここ数日間はあの人に振り回されて、げっそりだぜ｣

そして、逢坂さんは私に優しく笑いかけます。

う～ん、でもね、あのねと納得していない私は、思い切って逢坂さんに尋ねてみることにしたのです。