【冴えない貴方は御曹司！？】番外編も完結しました！

やっと誰か来てくれたと、ホッとして涙声で大丈夫だと言う私に、その人は安堵したようにフッと笑いました。

私を助け出してくれたのは深澤萌恵(ﾌｶｻﾞﾜﾓｴ)さんと言って、私よりも5年上で、祐輔さんと同期のイケメン女子社員と噂の人でした。

『助けるのが遅くなってごめんね。あの子達がなかなか白状しなくてさ』

まだお礼も伝えていなかったと、慌てて頭を下げました。

『本当にありがとうございました』

祐輔のやつ、あれ程気を付けてあげてって言ったのに！もうと呟いて、ついでで悪いけど、婚約おめでとうとお祝いの言葉をもらいました。

彼女はとてもサバサバした女性で仕事もトップクラスの成績を誇り、オマケに2歳の息子さんのいるシングルマザーだそうな。

祐輔さん曰く、いずれ彼の右腕となって働くシモベ…だとか。

でも、彼女のようなシングルマザーやシングルファーザーのために、この会社では福利厚生を充実させ、託児所まで完備しているのだから、萌恵さんからはとても良い職場だとお墨付きをもらいましたよ、祐輔さん！

彼がトップに立つ頃には、彼女のような女子社員も社の中枢部に入っているかも知れないですね。

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さて、何故萌恵さんが助けに来てくれたのかと疑問も残ります。

萌恵さんによりますと、彼女が3時のお茶の時間に、ロッカールームに立ち寄った際に、中から3,4人の女子社員の声が聞こえていたそうで、こんな会話がなされていたようです。

『何ィあれ？あの子シンデレラにでもなったつもりなのかしら?』

『大したことないくせに、いい気になって、専務につきまとってさあ』

『そうそう、一度は痛い目に合わせないとって思ってたから、今回はグッドタイミングだったんじゃない?』

『本当鈍くさいよねあの子！今頃地下倉庫で泣いてんじゃん?』

彼女達の会話から察するに、専務の婚約者である私に対して、何かやらかしたなと感じた萌恵さんが機転を利かせて、彼女達に全てを白状させて、王子様のように現れて、私を助けに来てくれたと言うことなのです。

その彼女達に対して、何たる子供じみたイタズラをと言葉を荒らげたそうですが、先ずは救出作戦決行だと、警備員さんを伴ってやって来たくれたのです。