シ者-nagisa-

耳を塞いでしまいたかった。
目を逸らしてしまいたかった。

最も遠い場所にいると思っていた
綺麗な白咲さんがあまりにも近すぎて
この部屋から逃げ出してしまいたかった。

軽蔑なんてする訳がない。

だけど、目の前にいる人は
白咲さんではなかった。

どうして白咲さんは
正反対で同じなんだろう。
何かの苦労もなく悩みもない
正反対な人なら諦める事が出来たのに。
こんな言葉を言わずに済んだのに。
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